白いぼうし(第3時) 1997年 6月
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1 四つの場面に短い題を付けさせる。                    


 場面分けをする。(場面が四つに分かれていることを確認させる。)
  まず,場面分けをすることを伝えた。

説明1 今日は,場面分けをします。                    
    今から,それぞれの場面の始まりに番号を打っていきます。      
    そして,いくつの場面からできているのか確認をします。       

指示1 まず,「これは,レモンのにおいですか。」の上に


と書きなさい。  
説明2 では,ペ−ジをめくっていきながら,場面2,場面3の始まりを見つけて
   いきます。                             
指示1 見つけたら,手を挙げてください。                 
   (P53,P54……と言っていきながら,挙手を待つ。)       

  その都度,挙手をした児童を指名し,場面の始まりの文を読ませた。そして,場面の
 番号を記入させていった。そして,四つの場面からできていることを確認した。
  以下は,それぞれの場面の始まりの一文である。









 「これは,レモンのにおいですか。」                  

 アクセルをふもうとしたとき,松井さんは,はっとしました。       

 車にもどると,おかっぱのかわいい女の子が,ちょこんと後ろのシ−トにすわ


 っています。                              




 「お母さんが,虫とりあみをかまえて,あの子がぼうしをそうっと開けたとき
   −。」と,ハンドルを回しながら,松井さんは思います。        


 四つ場面に短い題を付けさせる。

説明  次に,四つの場面にそれぞれ「短い題」を付けます。         
    この白いぼうしの主人公は誰ですか。(「松井さん」との声。)    
    最後が,その松井さんで終わる題にします。             
    つまり,次のように「何々している松井さん」あるいは「何々して,何々
   な松井さん」というような題にします。《板書で示しながら説明する。》 
   
   

   

   

   

   

   

《板 書》                           












 

 

 

 


 ……………………松井さん                 

 ……………………松井さん                 

                              

                              



    まず,場面一からいきます。ノ−トに次のように書きなさい。     
   
   
   

 誰々と何々している松井さん                  


  時間を1分程待った。書き終わったら,「鉛筆を置くように。」と指示した。
  次にように言って,全員を指名して答えさせた。

指示  では,発表してもらいます。                    
    この列から順々に言っていきなさい。                

  

  大きく分けて,次の二通りの題が出た。
  @ お客のしんしと話をしている松井さん
  A お客のしんしと夏みかんのことを話す松井さん
  上の2つの題の違いは,「夏みかん」があるかないかである。これについて,検討さ
 せた。

説明  今,大きく分けて二通りの題が出ました。1つ目は,「お客のしんしと話
   をしている松井さん」です。2つ目は,「お客のしんしと夏みかんの話をし
   ている松井さん」です。                       
    「夏みかん」があるかないかの違いです。              
発問  では,場面一の題に,この「夏みかん」という言葉を入れた方がいいでし
   ょうか。それとも,なくてもかまわないでしょうか。          
指示  どちらかに手を挙げなさい。                    
    入れたほうがいいと思う人?(全員)なくてもかまわないという人?(な
   し)                                

指示  では,入れた方がいいと思う人は,前に出て意見をいいなさい。    

  次の意見が出た。

  ◇ 何の話をしているか分からないから,入れたほうがいいと思う。
  ◇ 松井さんとお客のしんしは,ずっと夏みかんのことを話している。だから,夏み
   かんを入れたほうがいいと思う。
  ◇ 夏みかんは,この「白いぼうし」という話の中で,とても大事なモノだと思う。
    そういう大事なものだから,題の中にも入れたほうがいいと思う。
  ◇ 今言った〜さんのに付け加えて,松井さんは,ちょうを逃がした代わりにこの夏
   みかんを男の子のぼうしを中に入れたあげた。また,話の最後も「車の中には,ま
   だかすかに,夏みかんのにおいが残っています。」と夏みかんのことで終わってい
   る。それだけ,この夏みかんは大事なのだと思う。
    だから,入れた方がいいと思う。
  ◇ お客のしんしが松井さんに話し始めたのは,夏みかんのことでだ。
    だから,入れた方がいいと思う。

  以上の発言により,「入れる」ということで次に進んだ。

  次は,場面2である。
  場面2は,読んでみると分かるが,1つに題を決めにくい。また,1つに決めたとし
 ても,少し長い題になる。
  そこで,題を2つつけていいことにした。次のように言った。

説明  場面2は,少し長いですので,題を1つに決めるのが少しむずかしいと思い
   ます。                                
指示  それで,題を2つ書いていいです。つまり,              
   

   

   
   









 @                              
  A                              
   というふうにして,2つ題を書きなさい。                
    どこかまでは1つ目の題,どこかからは2つ目の題というふうにして書きな
   さい。                                
    今度は,少し時間をあげます。3分です。               

 作業終了後,場面1と同様に発表させた。以下のような題が出た。

 @ 白いぼうしを見て,はっとする松井さん
   ぼうしの中のもんしろうちょうをにがしてしまった松井さん
   もんしろうちょうをにがしてしまって,かたをすぼめてつっ立っている松井さん
 A ちょうをにがしたおわびに夏みかんをぼうしの中に入れる松井さん
   夏みかんをぼうしの中に入れた松井さん
   男の子のことを考えて,夏みかんをぼうしの中に入れた松井さん

 場面1のときと同様に,子どもたちから出た意見を教師の方でいくつかにまとめ,どれ
 が1番いいか挙手させた。そして,次のような題に決めた。





 @ ぼうしの中のもんしろうちょうをにがしてしまった松井さん      
  A おわびに夏みかんをぼうしの中に入れた松井さん           

  このとき,蛇足であったが,次のように言って,下の2つの文の違いを検討させた。

発問  ところで,「にがしてしまった」と書いてあります。ここを,「にがした
   」と書き変えたらダメですか。                    
    ダメだと思う人?(多数)                     
発問  では,どうしてダメなのですか。前に出て説明しなさい。       
    「『にがしてしまった』というのは,こういう意味だけど,『にがした』
     というのは,こういう意味になるからダメだ。」というような言い方で
   説明しなさい。《下の文の傍線の部分を指しながら》          
   
   
   
   

A もんしろうちょうをにがしてしまった松井さん         
B もんしろうちょうをにがした松井さん             



  数名の子どもが説明した。

  ◇ 「にがしてしまった」というのは,にがすつもりはなかったのに,にげてしまっ
   たという意味で,「にがした」は自分からにがしてあげたという意味だから,ダメ
  ◇ 「にがしてしまった」というのは,失敗してまちがってにがしてしまったという
   意味だけど,「にがした」は自分からにがそうと思ってにがしたということだから
   ダメ。

  この発言をもとに,「松井さんは,そのつもりはなかったに,男の子のつかまえたも
 んしろうちょうを逃がしてしまったのですね。」と言って,次に進んだ。

  次は,場面3である。
  この場面だけは,「女の子」という終わり方で題を書くよう伝えた。

説明  この場面だけは,最後が「女の子」で終わる題を書きます。つまり,「〜
   している女の子」あるいは[〜して,〜な女の子」という書き方で書きます
    時間は2分です。                         

  同様に全員に発表させた。以下のものが出た。

  ◇ 道にまよったことを松井さんに言う女の子
  ◇ 菜の花に町に行きたがっている女の子
  ◇ 男の子が近づいてきてあわてる女の子
  ◇ 「早く行ってちょうだい。」と松井さんに言う女の子

  同様にどれが1番いいか挙手させた。そして,次のものに決め,次に進んだ。

◇ 菜の花町に行きたがっている女の子                   
◇ 「早く行ってちょうだい。」とあわてる女の子              

◇ 菜の花町に行きたがっている女の子                   
◇ 「早く行ってちょうだい。」とあわてる女の子              


  最後の場面である。
  同様に題をノ−トに書くよう言った。今度は,松井さんで終わるように言った。
  これも,2つ題を書いていいことを伝えた。
  全員に発表させ,以下のものが出た。

  ◇ びっくりしている男の子のことをそうぞうしているまついさん
  ◇ 女の子がいないことに気づく松井さん
  ◇ 「よかったね。」「よかったよ。」の声を聞く松井さん
  ◇ いなくなった女の子ことを考える松井さん
  ◇ 小さな団地の小さな野原に来た松井さん

  同様にどれが1番いいか挙手させ,以下の2つに決めた。

@ 女の子がいないことに気づく松井さん                  
  「よかったね。」「よかったよ。」の声を聞く松井さん          


 まとめた題をノ−トに書かせる。

  まとめとして,それぞれ場面でまとめた題をノ−トに書くよう伝えた。

指示  今から,それぞれの場面でまとめた題を黒板に書いてきますので,ノ−ト
   に写していきなさい。                        

  黒板は以下のようになった。







  お客のしんしと夏みかんのを話をする松井さん             

 @ぼうしの中のもんしろうにがしてしまった松井さん           

  Aおわびに夏みかんをぼうしの中に入れた松井さん            




 @菜の花町に行きたがっている女の子                  
  A男の子が近づいてきてあわてる女の子                 




 @女の子がいないのに気づく松井さん                  
  A「よかったね。」「よかったよ。」の声を聞く松井さん         


  最後に,この題を全員で斉読した。そして,次のように言って授業を終えた。

説明  このように,それぞれの場面を短い題で書いていくと,どんなことがあり
   どうなって,どうなって,どうなっていくかが1目で分かりますね。   
    次の時間から,それぞれの場面を詳しく勉強していきます。